森里川湖をめぐるストーリー 5
[2024年6月11日]
ID:17379
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このコラムは、鈴鹿の森から始まり、森里川湖を通じて人と自然がつながっていることを感じていただくものです。
湖東平野にそびえる赤神山は、三角の山容が目立ち、赤神山に鎮座する阿賀神社は「太郎坊さん」の愛称で親しまれています。
この赤神山をはじめ繖山や雪野山は、恐竜がいた時代、中生代白亜紀(およそ七千万年前)の火山活動でできたと考えられています。このときの噴火の中心は、甲津畑から杠葉尾を含む非常に広い範囲に広がり、激しい噴火によって火山体の陥没が生じ、図のように「湖東カルデラ」と呼ばれる巨大なカルデラが形成されました。
その規模は、現在世界最大の阿蘇のカルデラ(東西18キロメートル、南北24キロメートル)に匹敵したと考えられています。
活発な火山活動は、巨大な噴火口から盛んに溶岩を噴出し、その溶岩が冷え固まった岩石が滋賀県の石に選定された「湖東流紋岩」です。赤神山にある太郎坊阿賀神社の夫婦岩は、この湖東流紋岩が冷えて固まる際に、岩が収縮することで割れ目(節理)が生じ発達したものとされています。湖東流紋岩は、東近江地域では古墳の石室や城の石垣等をはじめ、古くから人々の暮らしのさまざまなところで利用されてきました。
人類が誕生する遥か昔の話ですが、東近江市は鈴鹿山麓から湖東平野まで広がる巨大な湖東カルデラの上に形づくられたことを、太郎坊さんが静かに語りかけてくれています。
湖東カルデラ