新型コロナウイルスと向き合い ―『だれもが笑顔で暮らせるように―』 毎年12月3日から9日までは障害者週間です。これは、障害に対する理解や障害を理由とする差別の解消などに関心を深め、障害のある人の自立と社会参加を促進することを目的としています。  今月は、障害があっても周りのサポートや地域の人とのつながりを大切に活動している皆さんを紹介し、障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会にするために、一人一人ができることを考えます。   ■こんな時だからこそ、まちを元気に 〜私たちにできること〜 <地域の人とのつながりを大切に> 森野裕香里さん(僧坊町)、井上克己さん(蒲生堂町)   森野さんは、盲学校在学中に教員だった井上さんと出会い、地域の人たちとのつながりを大切にしながら音楽を一緒に楽しみたいと9年前から音楽ユニット「わ音」を結成し、2人で活動されています。  井上さんは、「視覚障害のある人に手引きをする場合、コロナ禍でも人と距離を置くということができません」と配慮を欠かしません。森野さんは、「人との距離が離れると不安になります。 『コロナ禍でマイナスばかり出てきますが、そんな中でもプラスに変えていけるところに自分たちに何ができるのか』ということを模索していけたら」と未来を見据えます。 <どんな時も前向きに> 築山清美さん(市子殿町)と盲導犬のベリンダ 築山さんは、37歳のときに目が見えなくなりました。現在は、盲導犬とともに小・中学校や地域の人権学習などで講演活動を行っています。  「もともと『人を助けたい』という思いから看護師や理学療法士として働いていましたが、全盲になって『助けられる側』となり、『助けられる側』の気持ちをすごく勉強しました。最初は、人の目が気になって白い杖を持つことができず、自分との葛藤がありましたが、『気持ちをどう持つかで世界は変わる』と思えるようになりました」と話す築山さん。  今では、地域のいろんなつながりもあり、皆さんから元気をもらいながら、「私自身も皆さんを元気にできたら」と活動を続けます。 ■コロナ禍での配慮を ○マスクをつけたくても、つけられない―  新型コロナウイルス感染症に有効な治療薬やワクチンがない中、マスクの着用は、飛沫感染を防止する上で必要な手段です。  しかし、心身の病気や障害などが理由で、マスクを着用したくてもできない人もいます。こうした理由により、マスクの着用ができない人がいるということを知ることも、コロナ禍の生活では必要なことです。  このような時期だからこそ、だれもがお互いに思いやりの心を持ち、細やかな心遣いをすることが私たちに求められているのではないでしょうか。 ○障害を理由とする差別を解消するために  障害のある人もない人も、お互いにその人らしさを認め合いながら共に生きる社会の実現を目的とした「滋賀県障害者差別のない共生社会づくり条例」が昨年10月1日から全面施行されました。 ◆「努力義務」から「義務」へ   この条例では、差別の解消を一層進めるため、障害者差別解消法で「努力義務」とされている民間事業者の「合理的配慮の提供」を「義務」としています。 また、法律では対象外の個人に対しても「差別の禁止」や「合理的配慮の提供」を「義務」としています。 ◆「合理的配慮の提供」実践へ  合理的配慮の提供とは、障害のある人から何らかの配慮を求められた場合に、負担になりすぎない範囲で対応することです。  例えば、手話や筆談など、コミュニケーションの方法を工夫したり、段差がある場所で補助を行ったりすることなどがあります。  障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会をつくる上で、私たち一人一人の配慮と心遣いが大きな力になります。  みなさんも「合理的配慮の提供」を実践していきましょう。   ■「ヘルプマーク」は援助が必要な人のためのマークです。  この赤いカードは、援助を必要としている障害のある人などが携帯し、いざというときに必要な支援や配慮を周囲の人にお願いするためものです。  この「ヘルプマーク」を見かけたら、電車内で席をゆずったり、困っているようであれば声をかけたりするなど、思いやりのある行動や心遣いをお願いします。  「ヘルプマーク」が必要な人は、障害福祉課、保健子育て複合施設ハピネス、各支所または滋賀県東近江健康福祉事務所の窓口までお越しください。 ○知っていますか? 障害者マーク  障害者マークの一部を紹介します。詳しくは、内閣府のホームページをご覧ください。 【ほじょ犬マーク】身体障害者補助犬同伴の啓発マーク 【ハート・プラス マーク】内臓などの身体内部に障害のある人を表すマーク ■社会全体で正しい理解を―  今回は、障害のある人たちの活動について紹介しました。  視覚や聴覚に障害がある人、手や足の機能に障害がある人、心臓や腎臓など身体の内部に障害のある人、相手の話の内容がつかみにくく周囲にうまく合わせることができないといった障害のある人など、障害の種類はさまざまです。そして、それぞれの障害の特性により、支援や配慮の仕方も違ってきます。  社会全体でさまざまな障害に対して正しく理解することで、障害のある人が直面する社会的障壁を取り除き、「誰もが健やかに笑顔で暮らせるまち」をみんなでつくっていきましょう。 問=障害福祉課 IP電話=050‐5801‐5640 ファクス=0748‐24‐5693