■記号は、対=対象 問=問合せ IP=IP電話 時=日時 場=場所 申=申込み 万葉ロマン漂う東近江  本市には、万葉集ゆかりの場所や歌が数多く遺されています。万葉集と東近江市のつながりを知り、万葉の詠み人たちに心を通わせてみませんか。 ● あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る 【現代語訳】あなたが人妻の私にそんなにそでを振って、野の番人は見とがめないでしょうか。 額田王 ● 紫の にほへる妹を 憎くあらば 人妻故に 我恋ひめやも 【現代語訳】紫草のように美しい貴女が憎いのならどうして人妻に恋などしようか。 大海人皇子 ※右の2つの歌は、現存する日本最古の和歌集「万葉集」を代表する額田王と大海人皇子の相聞歌です。相聞歌とは、男女や親子または友人などの間の親愛の情を詠んだ歌のことです。 ■額田王の歌に触れる ●市神神社(八日市本町15-4) 君待つと わが恋ひをれば わが屋戸の すだれ動かし 秋の風吹く  近江七福神のひとつ「市宮ゑびす」として信仰を集めている市神神社。聖徳太子ゆかりの神社としても有名です。ここには、額田王像がまつられていて、境内には日本文学者(万葉学者)である犬養孝書の額田王相聞歌碑が建てられています。  歌碑には、「あなたを待って私が恋しく思っていると、私の部屋のすだれを動かして秋の風が吹いていきます」と詠まれており、愛しい人を待つときは、少しの風の音にも敏感になる繊細な乙女心が感じられます。 ● 本市は古代史に名を残した歌人たちが活躍した地域です。今回紹介した歌のほかにもたくさんの万葉ロマンが散在しています。  さわやかな風を感じる新緑のこの季節に、市内にある万葉集ゆかりの場所や歌碑を訪ねて、歌人に思いをはせてみてはいかがでしょうか。 歴史文化振興課 林 雄飛さん ■ ●本市の万葉の魅力を発信  時代を象徴する元号は、これまで中国の古典からの出典でした。「平成」から「令和」に改元されたときには、万葉集が出典元であることが話題となりました。万葉集と本市は、東近江市民憲章の前文に「〜万葉のころより綿綿と続く歴史・文化・伝統を大切にして〜」とうたわれているように、万葉集ゆかりの地として深く関わっています。  また、全国の万葉にゆかりのある14の自治体が加盟する「全国万葉故地サミット」に本市も参画し、万葉をテーマとした魅力発信と歴史・文化を通した相互交流を行っています。 ●万葉集を代表する相聞歌  今から1400年ほど前、「蒲生野」で詠まれた二つの歌(上段)が有名です。この歌は、現存する日本最古の和歌集「万葉集」に収められた代表的な歌です。諸説ありますが、皇族で歌人の額田王と後に天武天皇となる大海人皇子との秘めた恋についての相聞歌と解釈され、悠久の時を超えて私たちに往時の華やかな情緒を伝えています。  飛鳥宮から大津宮に遷都した翌年の天智天皇七年、天皇ら宮廷人が雪野山の東に広がる広大な蒲生野を訪れました。古代中国に起源をもつ行事として、5月5日に官人官女によって「薬猟」が行われ、男性は鹿の若角を狩り、女性は薬草を摘み、ひと時を過ごします。この穏やかな風景の中で二つの歌は詠まれました。  大海人皇子は、かつて額田王と恋人同士でしたが、兄の天智天皇によって仲が裂かれていました。それでも、大海人皇子は恋心を抱き続け、額田王にそでを振り続けました。額田王は、その姿を見て、人目に付くことに戸惑いながらも、自らの恋心も抑えきれないといった様子がうかがえます。 ●万葉の時代を感じる蒲生野  蒲生野は、万葉の花々が咲き誇る野から田園風景へと姿を変えましたが、それでもなお、自然豊かな東近江市に住む私たちは、万葉時代の人々と同じような情緒を感じることができます。  万葉ロマンを探しに市内を散策してみませんか。 問合せ 歴史文化振興課 IP電話 050‐5801‐5677 ファクス 0748‐24‐5571