「近江の麻」「近江ちぢみ」の仕上げ加工の伝統工芸士として活躍中 大橋富美夫さん
[2017年8月1日]
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湖東繊維工業協同組合 副理事長(株式会社大長 代表取締役) 大橋 富美夫(とみお)さん(五個荘簗瀬町)
「近江の麻」「近江ちぢみ」の仕上げ加工の伝統工芸士として活躍中
周囲の山々、琵琶湖からの湿気、愛知川の伏流水による豊かな水。能登川・五個荘地区は、繊維業にとって好条件が揃った場所です。約500年前からここが良質の麻織物産地となり、湖東地域の人々の生活に寄り添い地場産業として発達しました。当時は農業をしながら地機という簡易な織機を使い、家内工業として作業する人も多く地場を支えていました。
古来より麻は庶民の着物であり、麻と共生して暮らしていました。
「麻は日本の夏の気候にあった繊維です。ガサガサするイメージを持っている人も多いかもしれませんが、加工すると柔らかくなります。古来から、下着は着古して柔らかくしたものを着用し、上着は仕上げした型で少し硬めであったと思います。」と大橋さんは教えてくださいました。
綿やウールといった他の繊維の台頭やエアコンの普及や生活様式の変化で麻の寝装寝具の需要は少なくなってきましたが、独自のちぢみ加工を生かした商品や少ロット多品種を求められる洋服の需要は増えているそうです。
また、麻を完成するには「染め、織り、仕上げ」の工程が必要で、地域内のさまざまな企業が分担し「近江の麻」を作っています。糸染めの工程 さまざまなニーズに合わせ染め上げます
織りの工程 糸の強さなどで微妙な調整が必要です
仕上げの工程 用途に合わせて風合いを調整します
「地域内の企業で分担して製品が完成します。湖東産地のように小さな産地内においてすべての工程を担える地域は全国的にも珍しいです。本物のメイドイン東近江の近江の麻です。この地域に受け継がれてきた文化・技術を生かし、新しいものづくりに挑戦し続けます。」と話す大橋さん。
その力強い眼差しは、地場産業の未来をしっかり見据えられています。