株式会社みんなの奥永源寺 前川 真司さん
[2019年3月5日]
ID:10115
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株式会社みんなの奥永源寺 代表取締役 前川真司さん
「奥永源寺地域の活性化を目指して」
兵庫県出身の前川さんは、中学時代の山村留学で農山村の魅力に気づき、高校・大学では農業を勉強し、世界の農業を知るためアメリカにも渡りました。帰国後、2011年から八日市南高校で農業教員として勤めていた前川さんは、八日市南高校が絶滅危惧種である市の花「ムラサキ」の栽培に取り組んでいることを知った際、「ムラサキ」の希少価値に感動し、地域の宝にするべきという思いを持ちました。そんな時に、東近江市の地域おこし協力隊の募集があり、ムラサキの栽培を本格的に行うため、教員を辞めて地域おこし協力隊に就任。奥永源寺地域にある君ヶ畑町に移住しました。
地域おこし協力隊として君ヶ畑町に移住した当時の耕作放棄地
平成26年から3年間、地域おこし協力隊として、奥永源寺地域にどんな可能性があるのかということを掘り起こしてきた前川さん。その結果、奥永源寺地域の魅力として、「政所茶、木地師のふるさと、鈴鹿10座、ムラサキの栽培環境」が挙げられると考え、それらをコンテンツとして商品化し、地域の活性化を目指していこうと、地元住民や市民の皆さんから出資金を募り、平成29年に「株式会社みんなの奥永源寺」を設立しました。
「みんなの奥永源寺」では、政所茶や木地師の体験ツアーなどを開催し、より多くの人に奥永源寺の魅力に触れてもらったり、耕作放棄地を開墾して、無農薬・有機栽培にこだわったムラサキの栽培にも取り組んだりしています。
政所茶のお茶摘み体験ツアー
地域住民や八日市南高校生らと開墾した耕作放棄地にムラサキを植えつける
これらの活動の一つとして前川さんは、ムラサキの根っこであるシコン(紫根)が、古来より染料や薬草として重宝されてきことに着目し、シコンエキスを使い、人や環境に配慮したライフスタイルを提案するオーガニックコスメを開発、商品化されました。そして、このオーガニックシコンコスメの普及啓発を通じた絶滅危惧種の「種の保存」、および限界集落と耕作放棄地の再生の取組が評価され、「みんなの奥永源寺」が環境省主催の「第6回グッドライフアワード」で実行委員会特別賞(サスティナブル・ビジネス賞)を受賞。さらに県内では、このオーガニックコスメが、滋賀県らしい魅力的な商品・サービスであるとして、「ココクール マザーレイク・セレクション2018」(県主催)に選定されました。
「まだまだ苦労の連続で、大変さを感じることも多いのですが、地域の皆さんの支えがあって成り立っている会社であることに感謝しながら取り組んでいます。そんな中で、栄えある賞を受賞できたのは、本当にありがたいです」と前川さん。
「年々、奥永源寺を訪れる人が増え、知名度も上がってきたと思います。これからも地域の活性化を目指し、地域の未来を担う会社になれるよう、限界集落といわれるこの地域に雇用が生み出せるような事業展開をしていきたいです」と大きな目標を熱く語る前川さん。地域を元気にするためにこれからも走り続けます。