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特産「伊庭桃」の復活で目指す「桃源郷」 中村 善武さん、中村 昭三さん

[2019年8月28日]

ID:10792

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中村善武さん、中村昭三さん

 伊庭町付近だけで見られる「伊庭桃」。枝いっぱいに実る直径6~8センチの楕円形の実は、上品な甘さがあり、どこか懐かしく優しい香りを放ちます。
 昔は集落内にたくさんの桃の木があり、春になって伊庭山から西を見ると、ピンクの花が咲きほこる美しい里であったといいます。明治の頃には、伊庭村の特産品として八日市に出荷されていました。
   



枝いっぱいに実る伊庭桃

 昭和の土地改良などで多くの桃の木が伐採されましたが、近年再び「伊庭桃」を増やす活動が始まっています。 

 中村善武さん(87歳)は、平成26年に山路川沿いに自生していた苗を畑に植え、以降毎年、畑で苗を育てています。町内の皆さんに育ててもらうことで伊庭桃を増やすことにつながれば、と一昨年には自治会を通じて希望者に苗を配布しました。「昔はどこの家にも桃の木があり、淡い桃色のきれいな花が咲いていました。水路を通って舟で農作業に出る際にも、水路沿いには多くの桃の木がありました。子どもの頃、下校時にも食べていました」と、かつての思い出に思いをはせると同時に、「種から発芽させる方法も試したい」と新たな挑戦への意気込みを語ります。 



伊庭桃の木を見る中村善武さん
 平成27年に町内の水路付近の木から新芽の枝を切り取り、自宅のプランターで育て始めた中村昭三さん(68歳)も伊庭桃を増やす活動をされている一人です。「広場に桃の木を植えていき、桃源郷をつくりたい」と夢を話してくれました。
畑に植えた伊庭桃の木に触れる中村昭三さん
 平成27年に伊庭の水辺景観が日本遺産に認定され、平成30年には国の重要文化的景観に選定されたことがきっかけで、自治会においても特産「伊庭桃」による昔の景観復活への取組が始まりました。一人一人の思いと挑戦は、徐々に周囲へと波及しながら美しい花に囲まれた桃源郷を目指すまちづくりへとつながっています。

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