書部門 審査員:藤田 恭敏
<総評>
漢字、仮名、現代文作品、篆刻までバラエティに富んだ出品作品が揃いました。作品からは作者それぞれに力を入れたポイントやこだわりが感じられます。筆墨を用いて自己を高らかに歌いあげる楽しさを味わっていただけたらと願います。
市展賞
【命題】鱗雲
【住所】近江八幡市
【氏名】伊藤 亜古
【特別賞】東近江市芸術文化祭実行委員長賞
【講評】大胆な落筆、気迫溢れる一筆に心惹かれる。文字造形や余白のとり方、墨表現の工夫などから創作する喜びが感じられ、すばらしい。
特選
【命題】漢詩句
【住所】蒲生郡日野町
【氏名】長束 典子
【特別賞】京都新聞賞
【講評】墨量豊かで、充実した筆線で一貫した。字の中の白を密にすることで、字間の余白を際立たせることに成功している。
特選
【命題】祈
【住所】東近江市
【氏名】山本 渓翠
【特別賞】朝日新聞大津総局賞
【講評】古文の「祈」を全身で書ききった。線の強弱や曲直のバランス、かすれ、筆のわれの変化を自在にとり入れ、自然なリズムの中で調和させている。
特選
【命題】袁枚詩
【住所】東近江市
【氏名】角田 朋子
【特別賞】滋賀報知新聞社賞
【講評】筆先を良くひきしぼり、一点一画をゆるがせにしない気持ちのこもった書きぶり。渇筆により勢いや大胆さを表現することができた。
佳作
【命題】仔猫一匹
【住所】愛知郡愛荘町
【氏名】北川 知栄子
【講評】類例のない語句や、小書きも含めたのびやかな線の表現が魅力的である。自由なおおらかさがとても好ましい。
佳作
【命題】湖月
【住所】東近江市
【氏名】肥夏 恒子
【講評】一定のリズム感で、一貫性のある書きぶりとなった。行間を広くとり、渇筆も加えながら、明るい紙面にまとめている。
佳作
【命題】良寛の歌
【住所】東近江市
【氏名】荻須 喜美子
【講評】古意あふれる文字表現。変体仮名も使用しながら静かでおだやかな行の流れを表現することができた。
佳作
【命題】至道無為
【住所】愛知郡愛荘町
【氏名】新美 興之介
【講評】文字造形を巧みに工夫した分間布白に配慮された構成と、精緻な運刀により安定感のある作品となった。
高校生奨励賞
【命題】臨風信帖
【氏名】 小林 歩実
【講評】空海「風信帖」の臨書。多字数を集中して書ききっている。線の太細などもよく研究できており、今後も楽しみな一作。